介護現場からの反響の大きさ
この事件がほとんど語られることがない原因は根の深いものです。 ひとつは、世の中の人が老人介護、特に痴呆の老人の介護は大変な仕事なんだから、こんな事件があったって問題にすべきではない、とどこかで考えていることだろうと思います。あんまり責任を追及して
「じゃあお前たちがやってみろ」と言われると困るから、適当でいいじゃないか、と考えているんだろうと思います。
さらに言うとすると、その深層には、痴呆性老人は生きていても意味のない存在だ、という無意識があると思います。
もちろん私たち介護関係者はそんな考えは論外です。なぜなら痴呆性老人に「尊厳死」ではなくて、「尊厳生」をつくり出す方法論をもっているからです。
市民社会の介護職への奇妙な同情、それは差別と言ってもいいものですが、それに痴呆性老人への無知、偏見が、私たち介護の世界に感染してしまわないために、この事件をちゃんと語らなくてはならない、
私はそう思っています。
「はじめに」(三好春樹)より抜粋
セミナーは、7月1日に東京、15日に大阪で開催されたが、本書には、 東京での内容を加筆・修正のうえ収録しました。
● INDEX
T. 他人ごとやなか・・・
U. リスクは介護現場にある、私自身にある
V. 「家庭的ケア」という幻想
鼎談 介護現場のいま
資料