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教育紙芝居のほんわかたのしい世界(9)

■タイトル
「森のいえ」
■作者
原作・グリム
脚本・八木田宣子
絵・篠崎三朗
■制作

■発行
童心社
●好感度
○文  
★★★
○絵  
★★★★★
○反応 ★★★ ……小6年
まず、すばらしい絵に惹き付けられる。こんな手抜き無しの仕事をするプロがいることに驚嘆する。色彩は輝くばかり。どの画面もち密に設計されている。キャラクターはおだやかで、ヨーロッパの無気味かつ奇妙な話にも関わらず落ちついたふんいきをかもしだす。長くみていてもあきないくらいのハイクオリティの絵であり、1998年という制作年代を考えあわせるとき、紙芝居の衰退を瀬戸際で食い止めたような仕事ではなかったろうか、と思う。
ストーリーはグリム童話からとられているので、はちゃめちゃであり、特有の残酷さをもっている。しかし、ここではグロテスクな面は極力おさえられている。
問題は、紙芝居という特殊な表現をもっと生かす言葉の選択が必要だと思われることだ。ここに書かれている言葉は絵本的なものとしては通ると思うが、紙芝居固有のコ−ル&レスポンス的な生きた場面に必ずしも適応しえない。このまますらすら読んだとしても作品のおもしろさは半分くらいしか伝わらないだろう。

話の流れからいって、三人姉妹の個性があらかじめ描かれていないと観客の側の了解感が薄くなる。やはり末娘のやさしさを印象付けるエピソードを頭におくべきだ。画家はそのストーリーの不備を絵で補填している。(こんなに画家に気をつかわせていいのか)
ばかぼんおやじに生彩がないのも気になる。小鳥がついばんだ豆に関して、それがひいては末娘を助けるような展開が考えられるではないか。もっと工夫が必要だろう。
ひげの老人と動物たちのかけあいはこの作品をおもしろくする最大要素である。それなのに、文章的にはほとんどなんの工夫もされていない。紙芝居を演じる場合、動物の役を子供たちにふって、掛け声を出してもらったりできる。それでおおいに盛り上がることもできる。せっかく『ドゥークス!』というゆかいな動物語があるのだから、それを生かせる演出を編集サイドで考えておかないと、特有のおもしろさが普遍化できない。もったいない。
あまり必然性のない落ちだが、しょうがない。まけておこう。これがヨーロッパ流なんだろう。こういうハッピーエンドは昔の子供たちなら素直に受取っただろう。だが、いまはそうはいかない。なんといっても「ちびまるこちゃん」を経てきているのだ。もっと二段三段構えの構成がいる。そういう紙芝居ができるのはいつの日のことだろうか。



(2009.2.16)

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