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第一回 5/16衆議院本会議傍聴記(2006)

 衆議院本会議の傍聴に行った。生まれて初めての体験。
小坂文部科学相から、教育基本法改定の趣旨説明があり、自民、公明、民主、共産、社民の代表質問があり、それぞれの質問に、小泉首相、各担当大臣が答えて終わり。各代表の質問は、文章を練り、有名な教育者、哲学者の引用をして、大向こうを狙ったような、なんだか弁論大会みたで、気持ち悪かった。

小坂文科相も、小泉首相も、なぜ教育基本法を「改正」するかという理由として、制定以来半世紀が過ぎ、めざましい科学技術の進歩、情報化社会、少子高齢化、グローバル化、教育をめぐる環境は変わった。不登校、いじめ、学級崩壊、学力低下、ニート、引きこもり、少年凶悪犯罪の増加など、日本の教育は、さまざまな問題を抱えている。だから、「教育基本法改定」という。文科省官僚の原稿通りで、内閣の答弁は全く同じ。
少子高齢化、情報社会、グローバル化社会が、なぜ「教育基本法改定」に結びつくのか。情報社会だから、今や、一クラス人数分のパソコンは用意され、小学生から、パソコンを利用している。グローバル化だから、英語を小学校から取り入れるのも盛ん。社会の動きに連れて、学校で扱う内容は変わってきている。充分に世の風潮、変化に対応しているではないか。
不登校、いじめ、学級崩壊、ニート・・・マスコミで取り上げられる問題は、教育基本法を変えれば解決する問題なのか。憲法を変えれば、人殺し、詐欺、セクハラなど犯罪がなくなるというようなもの。全くのペテンだ。
それについて、野党質問と内閣答弁とお互い一回切りで、お互いいい放しで、追及がされず歯がゆい思いだった。「教育は百年の計」というではないか、まだ半世紀で右往左往じたばたするのか!小泉首相が盟友とするアメリカの憲法は1787年制定されたものを誇り、時代の変化に応じて、修正条項を付け加えつつ踏襲しているではないか。半世紀たって古いから悪いなどと、「伝統と文化を重んじる」自民党なのに、大いなる矛盾。
いやいや、この教育基本法は「日本の伝統と文化」ではないんだ。現行の教育基本法は、個人の尊重、個人の権利ばかりをいい、負うべき義務、責任について言及がない。だから、改定教育基本法は、教育を個人の権利から、義務に変えるもの。いろいろ説教がましく、こうしろ、ああしろと私たちに命令している。

小泉首相の答弁で、気になったこと、石井共産党議員、保坂社民党議員が、「わが国と郷土を愛せよ」心は子どもたちの心の中に踏み込んで強制するものではないのか、憲法に保障された「思想信条の自由」を踏みにじるものだというのに対し、「いいや、子どもの内心の自由は、守られる」「教師は、職務として、愛国心を教えるけれど、その教師が内心で何を考えていようと問わない、つまり内心の自由は守られる」
心の中で何を考えても、それを表さなければ、いいよ。ーーあいつを殺してやりたいと心の中で思ったって、実行しなければ、犯罪として扱われないーーそんなこと当然なことだ。「内心の自由」とは、そんな下世話の話ではないはず(いやいや、共謀罪ができたら、それも危ないが)。「思想及び良心の自由」とは、「内心の自由」とはそれに基づいて行動する表現する自由を保障する、基本的人権の問題だ。それを、単に「心の中での妄想の自由」のように小泉首相が言うのは、聞き捨てならないことだ。
「態度」について、小泉首相、小坂文科相は「心と態度は一体のもの」と、答弁している。つまり、「態度を養う」とは「心と態度を養う」と読み替えていいこと、とすれば、「心を育てる」つまり、子どもの内面に入って、「日本人として、これこれをせよ」と指図をすることになる。それこそが「内心の自由」侵害、強制ではないか。

小泉答弁にも、何度も繰り返し「人材」という言葉がでてきた。明治の学制以来、教育とは、「富国強兵」の国策に沿って「国家に有用な人材育成だった」と確か歴史の教科書で習った。またまた、同じ轍を踏もうというのか。
小坂文科相は言った。「法律が最高、改定教育基本法、その他の法律に従って教師は教育を行う」それが、「不当な支配に服することなく」と言うことだと答弁した。
戦前の教師は、「法律」に従って教育した。それで、太平洋戦争に突入していった。
だから、敗戦後、教育基本法では、時の政府の作った「法律」を超えるものとして、「不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接責任を負う」という10条があるのではないか。

小泉首相以下内閣答弁は、「教育の目的や理念を明確にして、国民共通の認識を持って、国民全体で教育改革をすすめる」だから、教育基本法「改正」だという。
われらに国家が命令する、国家のための教育、教育権をすっぽり国に委ねるのは真っ平だ。「改革を止めるな」誰のための「改革」「教育改革」かと思った。

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